HRA HRアナリティクス研究室
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2021.07.06

【開催レポート】EX(従業員体験)提供による人的資本の最大化と持続的な企業価値向上

「EX(従業員体験)提供による人的資本の最大化と持続的な企業価値向上 〜ISO30414・伊藤レポートに準拠した人事データ可視化・分析〜」

人的資本経営とデータ可視化のトレンド

SDGsが注目されESG投資が活発となるに伴い、世界的に人的資本の情報開示に向けた取り組みが進んでいます。日本国内でも、昨年経産省より出された人材版伊藤レポートや、コーポレート・ガバナンスコード改訂の影響もあり、人的資本経営が注目を集めております。

このような背景を踏まえ、今回、日本能率協会総合研究所では、「EX(従業員体験)提供による人的資本の最大化と持続的な企業価値向上」をテーマにセミナーを開催しました。セミナーでは、EX提供によっていかに企業の競争力の源泉である人的資本を最大化するかについて、ISO30414や伊藤レポート、インテリジェントダッシュボード等の紹介を通じて、今後の経営や人事が取り組むべき役割や方向性の議論を行いました。

Agenda

1 人的資本(Human Capital)開示の潮流の背景  - なぜ注目されているのか

2 加速するEX提供と発展段階 - エンゲージメント・EXとは何か

3 インテリジェントダッシュボートを活用した人的資本開示・モニタリング例

 

1 人的資本(Human Capital)開示の潮流の背景  - なぜ注目されているのか

SDGs採択とESGの加速

・2014年頃から、ESG投資が加速している。SDGs採択の影響もあり、E 環境やG ガバナンスへの配慮のみならず、Sの人権や人的資本にも注目が集まっている。
・SDGsには、「8 働きがいも 経済成長も」「5 ジェンダー平等」「3 健康と福祉」「10 人や国の不平等をなくそう」等、人事に関連した目標が掲げられており、企業と従業員が共に発展できる持続的な関係性を構築することや、労働者の人権や健康に配慮を重視することが求められている。

人的資本開示義務化

・2020年11月からSEC (米国証券取引委員会)にて、ISO30414に準拠した形で人的資本開示が義務化された。
・日本企業・人事においても、人材版伊藤レポートでも言及されているように、人的資本の整理・レポート対応が急務となっている。
・2022年に株式市場が再編され、最上位のプライム市場が設立される。欧米企業と遜色のない基準とすることで、外国人投資家が投資しやすくなる市場を目指す。
・2020年6月、金融庁・東証(JPX)が、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を改訂される。
・経営陣の能力を一覧化したスキルマトリックスの表示、取締役のダイバーシティ等が盛り込まれる。

人的資本で求められている要素 ISO30414 概要

・ISO 30414は、企業の人的資本情報を内外のステークホルダーに開示する基準を定めたガイドライン
・企業規模と、内部向けと外部向け開示する要素が定められており、将来的に日本の企業においても、上場企業は、人財諸表(Human Capital Report)を義務付けられる可能性が高い。
・日本企業も、中期経営計画にエンゲージメント目標を掲げるなど、人事のKPIの設定と公表が進んでいる。

2 加速するEX提供と発展段階 - エンゲージメント・EXとは何か

これから人材戦略に求められる3P5Fモデル(人材版伊藤レポートより)

・人材戦略において、①経営戦略と人材戦略の連動、 ②As is‐To beギャップの定量把握、③人材戦略の実行プロセスを通じた企業文化への定着の視点、①動的な人材ポートフォリオ、個人・組織の活性化(②知・経験のダイバー シティ&インクルージョン、③リスキル・学び直し、④従業員エンゲージメント)、⑤時間や場所にとらわれない働き方といった、5つの共通要素が求められており、人事は対応が必要。

なぜ今エンゲージメント→従業員体験(EX)なのか

・人材版伊藤レポートでも言及されているように、エンゲージメントはKPIとして、多くの企業が活用している。
・一方、エンゲージメントの定義はバラバラであり、各社きちんとした定義と測定が必要である。
・従業員意識調査は、「会社満足」から自発的なアクションを求める「エンゲージメント」へと移り変わり、昨今では高いエンゲージメントを維持するために、「従業員体験(EX)」が注目されている。
・スピーディに従業員の状態を把握し、声をきき、対応することが重要である。
・EX(従業員体験)提供による人的資本の最大化によって、企業の競争力を高めることが求められている。

3 インテリジェントダッシュボードを活用した人的資本開示・モニタリング例

パルスサーベイとインテリジェントダッシュボードの活用

・重要な人材アジェンダごとに定量化したギャップが、経営戦略と人材戦略の連動の程度を表す指標となる。
・コロナ禍を契機とした複雑な社会環境と激しい変動の中、年次の従業員意識調査では細かな意識変化を追うことは難しく、調査項目を厳選し、素早いデータ収集が可能なパルスサーベイへの組み換えが行われている。
・環境が急速に変化する中で、素早く正確に課題を把握し、施策展開を連動させるために、ダッシュボードの活用は有効である。

ISO30414に準拠したダッシュボードによるデータ可視化

・「リーダーシップ」「組織文化」等、ISO30414で定められているメトリクスに応じて、データを可視化することが重要である。
・規格で推奨されているように、リージョンごとにダッシュボード上で情報を可視化することも可能。

人的資本が競争力の源泉となる時代の対応

・人的資本の内外開示による企業価値向上を図る必要性がある。
・様々なステークホルダーに配慮し、共創する必要がある。
・ただ開示するだけではなく、経営戦略、人事戦略と紐付けて、魅力的な個社レポートの作成を行う。
・企業が成長する上で、従業員体験(EX)の提供によるエンゲージメント強化は極めて重要。
・上記、実現のための目標と現在値の見える化からの素早いActionが求められている。

 

開催概要

日時:2021年6月9日(水)14:00〜15:00

会場:オンライン (Zoom)

演題:「EX(従業員体験)提供による人的資本の最大化と持続的な企業価値向上 〜ISO30414・伊藤レポートに準拠した人事データ可視化・分析〜」

登壇者:

  宗宮 亮 (日本能率協会総合研究所 HRアナリティクス研究室 室長)
  山田 隆史 (ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 副代表理事)

主催

  日本能率協会総合研究所 HRアナリティクス研究室

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